アレルギーのようなヒスタミン食中毒

ヒスタミンとは、かつおやまぐろなどの赤身魚に含まれる「ヒスチジン」というアミノ酸が、細菌のはたらきによって分解され、産生される物質です。ヒスタミンが多く含まれる食品を食べることにより、食中毒を発症しますが、アレルギーのような症状であることから、アレルギー様食中毒といわれます。

ヒスタミンとは

ヒスタミンとは、カツオやマグロなどの赤身魚に含まれる「ヒスチジン」という必須アミノ酸の一種が、細菌(ヒスタミン産生菌)がつくりだす酵素の働きによって分解されることにより、生成される物質です。このヒスタミンが、食中毒の原因となります。

ヒスタミン産生菌とは

ヒスタミン産生菌とは、ヒスチジンを食中毒の原因となるヒスタミンに変える働きをもつ細菌です。

ヒスタミン産生菌は、海水中にいる海洋性細菌と、魚類の腸管内にいる腸内細菌に分けられます。海洋性細菌は、漁獲時にすでに付着しており、腸内細菌は、漁獲後の下処理の時に付着する可能性があります。

これらのヒスタミン産生菌の発育しやすい温度は、菌の種類により異なりますが、25℃~40℃で発育する中温細菌と、0~10℃でも発育する低温細菌があります。低温細菌は冷蔵していても増えるため、干物など冷蔵で長期間保存すると、ヒスタミンができる可能性があります。

ヒスタミン食中毒の発症量

一般的に、食品100gあたりのヒスタミン量が100ミリグラム以上の場合に、食中毒を発症するとされています。しかし、実際には摂取量が問題であり、食中毒事例から発症者のヒスタミン摂取量を計算した例では、大人1人あたり22~320㎎となっています。

ヒスタミン食中毒の症状

 多くの場合、食べた直後から30分くらいで、顔面、特に口の周りや耳たぶが赤くなったり、じんましん、頭痛、おう吐、下痢などの症状が出ます。ほとんどは6~10時間で自然に回復します。重症の場合は、呼吸困難や意識不明になることもありますが、日本だけでなくEUや米国においても死亡例はありません。
 アレルギー様食中毒といわれるように、アレルギーと同じような症状が出ますが、食品中にできたヒスタミンが原因ですので、アレルギー体質には関係なく、誰にでも起こる可能性があります。病院では、経緯の確認と、必要に応じて抗ヒスタミン薬の内服や点滴で症状を和らげていきます。自然回復の事例が多いですが、そのうち治るだろうと放置せず、早めに医療機関へ受診をお勧めします。

ヒスタミン食中毒の原因となる食品

ヒスタミンのもととなるヒスチジンを多く含むマグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどの赤身魚やそれらの加工品が主な原因食品として知られています。魚や、その加工品のほか、ワインやチーズなどの発酵食品にも含まれていたこともあり、海外では鶏肉やハム、チェダーチーズが原因となった事例も報告されています。

CODEX では、ヒスタミン中毒を起こす魚類として、サバ、サンマ、ニシン、シイラ、オキスズキ、マグロ類及びカツオ、イワシがあげられています。

食中毒予防のポイント

一度生成されたヒスタミンは、細菌のように、調理時の加熱では分解されません。そのため、ヒスタミン産生菌の増殖と酵素作用を押さえてヒスタミンを生成させないようにすることが大切です。そのため水揚げから最終製品を食べるまでの一貫した温度管理が重要となります。

●消費者の皆様へ

  • 生魚は常温で放置せず、速やかに冷蔵庫で保管しましょう。
  • ヒスタミン産生菌はエラや消化管に多く存在するので、魚のエラや内臓は購入後できるだけ早く除去しましょう。
  • 冷蔵の場合でも、できるだけ早く食べましょう。
  • 鮮度が低下したおそれのある魚は食べないようにしましょう。
  • 赤身魚の干物など加工品も、低温保存しましょう。
  • 冷凍した赤身魚を解凍する時は、冷蔵庫で解凍するなど、可能な限り低温で短時間のうちに解凍しましょう。凍結と解凍の繰り返しは避けましょう。
  • ヒスタミンが大量にできていると、食べたときに舌が「ピリピリ」することがあります。香辛料によるものでなければ、食べるのをやめてください。
  • くちびるや舌先に通常と異なる刺激を感じた場合は、食べずに処分して下さい。

●事業者の皆様へ

  • 魚を生のまま保存する場合は、すみやかに冷蔵、冷凍すること
  • 解凍や加工においては、魚の低温管理を徹底すること。
  • 鮮度が低下した魚を使用しないこと
  • 信頼できる業者から原材料を仕入れるなど、適切な温度管理がされている原料を使用すること。

ヒスタミン量の管理基準

食品中のヒスタミン濃度については、国際機関等によって、基準値が定められています。コーデックス規格では、遊離ヒスチジン含量が高い魚種の冷凍品や缶詰、魚醬に対してヒスタミン濃度の基準を設定しています。また、欧州、米国、カナダ、オーストラリア・ニュージーランドの各国においても、魚類やその加工品中のヒスタミン濃度の基準を設定しています。

日本国内では食品中のヒスタミン基準量は 定められていないが Codex 委員会では「魚介缶詰製品や凍結水産加工品について鮮度低 下の指標として 100ppm、安全性の指標とし て 200ppm」を超えないこと、同様に魚醤につ いては 400ppm を超えないこと」と定められ ている。

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